日本という国柄は、自然とともに生活し、自然の恵みに感謝し、ことある毎に祭りを行ってきました。とりわけ建築にかかわる祭りは、古代から厳粛なものとして儀礼化され、今日に至っています。
近年の建築儀式を見ますと住宅をはじめ橋梁や官公庁の公共建物や道路の建設など幅広く行われています。
殊に住居の建築は、一生に一度の大事業であり、特に厳粛に執り行わなければなりません。
主な祭りを説明します。

地鎮祭
家の新築や土木工事などに取りかかる際、その土地をお守り下さる神さまにご挨拶を申し上げ、工事の安全と守護を祈願する祭儀を「地鎮祭(じちんさい)」「地祭り(じまつり)」といいます。
地鎮祭は建主が中心となって執り行う祭りで、吉日に行われます。工事関係者も一緒に参列し建主とともに工事が無事に進むことをお願いします。

▽施主(建築主)が用意するもの
1.米(一合)
2.清酒(一升)
3.塩・水(一合)
4.魚(鯛又は鰹節・するめ・昆布等)
5.野菜(大根・人参・蓮根・菜物等)
6.果物(季節のもの)

上棟祭
上棟祭は棟上げ(たてまえ)、建前(棟上げ)ともいわれます。建物を建てる際、棟木を棟に上げる段階で行われる祭儀で、昔から最も重要視されている祭りです。
産土神(うぶすながみ)はもとより建物の守護神と工匠の神を祭り、上棟まで建築が進んだ感謝の気持ちと、棟木により建てられた柱をしっかりと押え崩れ傾くことの無いように竣工(落成)に至るまで、ご守護を祈願する祭りです。

竣工祭
新宅祭(しんたくさい)、家移祭(やうつりさい)ともいいます。
新築した家屋を祓い清め、建物が末長く安全堅固であることを祈願する祭りです。
同時に神棚を設けて神宮大麻氏、神様のお札をおまつりし、その家に住む人々の繁栄を祈ります。

取毀祭(とりこわしさい)
解体の清祓い(かいたいのきよはらい)ともいいます。
長い間居住した建物を取り毀すとき、その建物に鎮まって一家をお守り頂いた神々に感謝するとともに、解体工事の無事を祈る祭りです。
祠の移動、井戸埋め、水回りの変更、伐木、厠納めなどの場合にも清祓いの祭りを行います。